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面影 1  判断

面影

「日本の面影」はラフカディオハーンが書いた、消えゆく日本の情景。
木の橋げたに、下駄の音がカタコトするような、蠟燭の火に金色の器が光るような、息遣い。
面影は、消えゆくものへの追憶。

判断

私の伯父は、父が末の方に近かったせいもあって、私が物心つたときには御爺さんでした。
そしてえらかった。
ある組織のいっとう上までいって。それから理事長になった。

ハンカチ鼠
子供の私はそんなことはどうでもいいことで、大好きだった。
私は彼が上京のおりには、律儀がたく訪ねてきてくれるのを楽しみにしてた。
穏やかで、寛容で、低い深い声で、おっほっほと笑った。
玄関あたりで待ってるとカバンをもって、帽子を振ってにこにこ現れた、
明るく安堵の空気が部屋にいっぱいになるような笑いだった。信頼があった。
子供の求めで、筆をとり、達筆になんでも書いてくれたし、お話をして、物語もかいてくれた。
彼の得意技は、ハンカチで鼠を作ることだった。
待ってて、飛びついて、ネズミを作ってもらうような風景があったと思う。
かれは、そのころは丸禿げで、ぼっほっほとわらい、、
何度も禿げ頭をなでて、常に笑顔だった。
その手で、私の髪をなでるので、「うつる」と言うと、(ひどい子!)
「おじさんの手にふれたら、髪が何時までも黒髪になる」と、面白がっていた。
元街で、舶来の帽子を買うのを楽しみにしてた。
紳士であった。一人一人に丁寧に相手をしてくれた。
生きてるものをいとおしむようなそういう人だった。
相手の立場でものを考えられる人だった。

お出迎え
一度、父の郷里の彼の家に行くと、車におくられてきたのだろうか?
緊張が走り、「出迎え」という、、
誰の??とおもったら、伯父様の、
走って行こうと思ったら、
叔母は身なりがきちんとし、
誰かから伯父のカバンを受け取って畏まり、
少しひかえに従姉妹がいたようだった。
誰かが、足盥をもってきてて、伯父は、黙って、その中に足を入れて洗らってもらってた。
前を向いて身じろぎせずに。
家族の中でも、偉かった。
あ、本当は偉い人なんだぞって、、言われてたのは本当だった。
着替えの間に入るまでぞろぞろ、、行列。
私の知る伯父でなく、心地よい緊張が張り詰めてた。
日々そうだったのだろう、、着替えると着物。
そこからは、おだやかで、おっほっほの御爺さんになってた。
勿論、遊んでくれた。
子どもに分かるような楽しい話を幾らもしてくれた。尊大な処はなかった。

心得
あるときに 彼の職場で不倫事件が起こった、
妻子ある男性社員と、事務の女性。
彼は二人に辞めてもらうと判断をした。
男性社員は戦力だったのでしょう。
女性だけ切って、、という意見もあったようで、、
温厚な彼は
「世が世なら、姦通は二つに重ねて刺し殺す決まり。二人ともやめえ貰う」
「お客様が組織を信用できなくなる、信用は日々皆が作って来たものだ、
人の旦那さんを取って平気な人間を許すようでは、世間が信用しない。
守るべきものがあるのに、職場で不倫するとはけしからん。
今後、職場に居たら風紀を乱す。
信用こそが仕事をさせてもらえる証なのだ。仕事場を何と心えるか。」頑としてきかない。
「奥さんが可哀想すぎる立ち行かない」というと
「男が外で女を作るのがわからない、嫁にも責任がある。」
自分もやめる勢いで怒ったそうで、彼等は自分から辞めたそうです。

これが昔の倫理観で、昔の判断。明快です。
そこには 婦人の仁も、節を乗り越えた自由恋愛もありません。
皆が気持ちよく暮らすために、彼はその判断をするために
トップだったのです。

一組の姦淫の為に、組織の信用が失われない判断。
お得意様は大いに納得をしたそうです。
質実剛健にして、明快。遵法意識の無いものは家庭も、組織も大事にできない
それを何となく覚えた幼い日でした。

ハードボイルド
伯父のやさしさは、腑抜けのやさしさでなかった。
強く子供が育つように、皆が仲良くいくように、辛抱も今になると並大抵では無かったとおもう。
そういう人は、自分が、人の上に居る意味が解ってるから、幼いものをいとおしみます。
細やかな気遣いがあります。無作法はしません。
彼はお得意様と、組織の、そしてその家族の為に判断しました。

今は何をやっても仕事だけパーツの様にやってればいい様な風潮ですが、
昔の会社は大きな家族の様でした。
あるときまで運命共同体であり、ある時までは、仕えるものだった。

書を良くし、物を大切にして、、正に勘定方の武士の様でした。
辛抱強く人を育てる気風でした。
そして、激しさを、微塵打に見せない剛毅だった。

なんだか、風邪で一週間病人になってしまったせいなのか、忘れてたことを思い出したりして、
もう亡くなって久しいのですが、男が男であった時代、お父さんが偉かった時代を思い出しました。
羊羹ばかり召し上がってた、伯父様。ぽっと明るかった。
本当は、ハードボイルドだったんだ、、。

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コメント

[C4131]

おはようございます。

もう大分快復されましたかな・・・?。笑)
  • 2015-01-26 07:38
  • ひげ
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[C4132]

想像だけども
伯父様って紳士的な感じ(⌒▽⌒)
風邪治りましたか?

[C4133] こんにちは

むかしは 親族の中に 誰か 偉い人がいたような
大抵 曽祖父とか 祖父とかが ツルの一声
みたいな 感じで 成り立っていた
今は 情けない、と 感じることが多くなった
治りかけが大事 気をつけてください

[C4134] こんにちは(^-^)

伯父様、hippoponさんに思い出して欲しかったんですね。

それとも羊羹が食べたくなったのかな、hippoponさんの
お見舞いに来てくれていたのかも。
いずれにせよ傍にいらしてたんでしょうね。

ハンカチ鼠、どうやって作るんだっけ?
調べてみよ~っと(^^ゞ懐かしいですね。

その後、いかがですか。
無理せず、ゆっくりお休み下さい(*^_^*)

[C4139] ひげさん

良く寝てます。
マダマダ、なかなか、マスクは身につきました。
  • 2015-01-26 23:06
  • hippopon
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[C4140] ひろりんさん

伯父は人間的でした。
人格者で、伯母は幸せだったと思います。
  • 2015-01-26 23:07
  • hippopon
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[C4141] みかんさん

この人はツルの一声では無かったのですが、、
人格者だったと思います。
  • 2015-01-26 23:10
  • hippopon
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[C4142] coconut punchさん

ハンカチ鼠、、ニャンコ先生と遊んでください。
カリフラワー上手く行きましたね。
未だ、下の痛みがなくなりません。

良く眠り、明日に期待します。
  • 2015-01-26 23:12
  • hippopon
  • URL
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[C4143]

今は質実剛健な方、少なくなりましたね。
自分の思想に1本筋の入った人、自分の強固な考えを持った人。
堅物と思えるんだけど、惹かれますよね。

うちの親父も質実剛健というわけではないんですけど、頑固でした。
自分の考えを全うするためには相手ととことん話し合い、納得させているようでしたね。
頑固だけじゃないんですよね。
裏では相手の気持ちを考え、できるだけ希望に沿えるようにしてました。
そんなところが頑固おやじでも慕われたんでしょうね。
昔の人は厚い人情がありましたね。
  • 2015-01-26 23:38
  • matsuyama
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[C4144] matsuyamaさん

感情だったり勘定だったりしないで、
人の事を想って根回しして、、
少しも苦労したことを見せず、、清らかなものでしたよね。

  • 2015-01-26 23:48
  • hippopon
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[C4154]

今は、そういう光景は見かけませんね。
会社の倫理観も乱れっぱなしだし。
  • 2015-01-27 21:53
  • ジュリアルーシュ
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[C4171] ジュリアルーシュさん

会社の倫理観も、働く人の帰属意識も、トップの責任。
社会倫理、遵法意識が亡くなってきてるのでしょうね。
  • 2015-01-28 16:35
  • hippopon
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