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恋文  恋しくつて恋しくつて、早く会はないと僕は何も手につかない

827-4 未投函の初恋の手紙
恋文 川端康成

恋しくつて恋しくつて、早く会はないと僕は何も手につかない

初恋を知った20代のノーベル賞作家の恋文、、
今年の7月8日までに見つかったと言うニュースがありました。
7月10日。文芸春秋の8月号に記事が掲載され、
女婿の東大名誉教授川端香男里さんの特別寄稿も掲載されました。
記事についてはご存知の方もおありでしょう。

彼の文学に於いて、彼女の存在と、婚約の破棄のことは川端文学研究には重大な意味があるようです。
この手紙は重要な資料です。書かれてから、90年を超えて、なお瑞々しく切々と訴えます。
彼女の名前は、伊藤初代 。

   827-2.jpg 婚約の日 岐阜にて

二人が婚約を誓った後の記念写真です。大正10年10月の事です。
妻を娶る男の責任感にあふれた顔。若き日の川端康成氏。22歳(満年齢)
そして、苦労しましたが成績は優秀だった少女。15歳。

二人の出会いは、本郷のカフェ、エラン。20歳の孤独な帝大生川端。
彼は、幼いうちに父、母、祖母、祖父、姉となくし母方の家に引き取られてました。
初代は、「ハチヨ」と呼ばれ、源氏名をチヨ、「千代」と呼ばれてました。
彼女は母親に死なれたあと、叔母に子守に出されて、成績優秀で表彰される時も子守の格好だったとか。
13歳で女給になり14歳で川端と会います。

  827-1.jpg 伊藤初代 14歳ごろ。

彼は何故彼女に引き付けられたのでしょう。

父母への手紙より
✿ 肉親と離れたがためにふしあわせに育ち、しかも自らはふしあわせだと思うことを嫌い、
そのふしあわせと戦って勝って来たけれども、
その勝利のために反って、
これからの限りない転落の坂が目の前にあり、
それを自らの勝気が恐れることを知らない、
ざっとそういった少女のもつ危険に私は惹きつけられるのです。
そういう少女を子供心に帰すことによって、
自分もまた子供心に帰ろうというのが、私の恋のようであります。
ですから、いつも子供と大人との間くらいの年頃の女に限られております。✿

     827-3.jpg 細い腕 薄い肌

初代はエランの雇主が台湾に行くことになり、マダムの親類の岐阜のお寺の養女になります。
川端は、友人を伴って、岐阜に出向き、婚約します。
その後、初代の実父にも結婚を承諾してもらい、新居の用意もし、彼女を受け入れる準備をします。
養女にした寺では、甥と彼女を娶せるつもりだったらしく、
ある時に有名な「非情の手紙」が届きます。婚約の破棄を彼女から言い渡されます。
ある事情が出来たので、自分は結婚できないし、その理由を話すことは出来ないと。

川端は、後にこの事情を知ることになります。
レイプです。あまりにも悲惨な事件です。二人は結ばれませんでした・
きづついた彼女は寺を後にします。寺も彼との結婚からも。
操の尊さの言われた時代でした。
そして東京浅草のカフェアメリカで勤め。その支配人と結婚します。
彼がまもなく亡くなると、帝大の法学部を出た人と結婚し、
子供に恵まれて暮らしますが昭和26年になくなります。
44歳の若さでした。
川端は、面影を、またどうして?非常の別れがあったのか?苦しみ続けます。
彼女の面影に似た少女に泪します。
後に、ちよ物と言われる作品を書き上げます。
「南方の火」「篝火」「非常「霞」いきさつは詳しくかかれてます。

彼女との事を胸に、事実を掘り起こします。
悲恋の傷を描きあわらし、少女への愛を描きます。
彼の失恋は彼の小説の起点になりました。
その時の手紙は。生々しく彼を青春の日にもどしたことでしょう。

ではその彼の手紙の抜粋を致します。

 ✿君から返事が無いので毎日毎日心配で、ぢっとしていられない。~病気じゃないか 、
本当に病気じゃないかと思うと夜も寝られない。
とにかく早く東京に来るやうにしてください、
恋しくて恋しくて、早く会わないと僕は何もてにつかない。
~唯一人で旅することは僕が心配だし心細いからやめてください。必ず迎えに行く、~✿

彼の抱き続けた青春の慟哭。
彼は彼女の死を昭和40年ごろ知ります。
彼は晩年奇行があったようです。
亡くなる一年前には日蓮上人があたかもいる様な言動。
また、亡くなった三島が現れたような言動をしたそうです。
72歳の自死。

果たして、彼女の亡霊はみなかったのでしょうか?
66歳頃、こだわり続けていた女性の死をしり、
67歳、ノーベル賞を頂きます。(1968年)
14年も知ってやることが出来なかった恋人の死をくいはしないでしょうか?
彼女との事を描きこだわり続けて、ノーベル賞をもらったけれども。
何かがこと切れた、?
憶測でしかありません、。
彼は死の向こうに誰をみたのでしょう?
待ってる人は誰だったんでしょう。

さて、彼らは、死後再びめぐりあいます

彼の納骨は鎌倉霊園佐藤栄作総理大臣が参列したそうです。
そして、同じその日に、初代の遺骨は、仮埋葬から、鎌倉霊園にうつされたそうでした。
不思議な宿念ですね。
夫々の場所で面影を慕いながら懸命に生きた二人は静かに眠ってます。

    827-7 伊藤初枝 827-6 川端康成

なお手紙11通は8月24日まで 岡山県立美術館の特別展
特別展「巨匠の目 川端康成と東山魁夷」に展示されてます。

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出来ればご声援お願いいたします m(__ __)    、
追伸
一日間違えて予約投稿、そのために頑張ったのに、、、今頃起きました。爆睡でした。(+o+)

コメント

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[C1674] 1673さん

初恋の味は、カルピス
失恋の味は、カルピスコーラ。

歳月は、コーク。苦くなります!(=_=)

  • 2014-08-28 06:27
  • hippopon
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[C1685]

hippoponさん」 こんにちは・・・。

云十年前のおらの初恋・・・みるも無残に・・・・・・。笑)

でも世の中捨てたもんじゃない・・・今は、隣で高鼾してる・・・・。笑)
  • 2014-08-28 14:14
  • ひげ
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[C1686] ひげさん

きゃぁ~~初恋の人とご結婚なさったのですね!

お幸せですねぇ~。

あのね、、目めつぶってれば、、
最初に逢った時の笑顔が浮かぶから(説得)

大丈夫なんだよぅ~~。(^.^)/~~~

幸せ、、幸せ、よぉうし、、どう、どう。。❥

  • 2014-08-28 14:44
  • hippopon
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[C1687]

縁なんですかね。
好き同士であっても、縁が無ければ結ばれない。
また、障害があり一度別れたとしても、縁があれば結ばれる。
  • 2014-08-28 15:16
  • ジュリアルーシュ
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[C1688] ジュリアルーシュさん

そういうカップル👫ありますね。
障害も時間がたって、乗り越えられるようになって。

赤い糸?あるのかしら?
この二人も、不思議なめぐりあわせですよね。
  • 2014-08-28 15:30
  • hippopon
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[C1689]

こんばんは。

恋しくって恋しくって。。。そんな言葉を未だ聞いたことがない。
羨ましい限りです。(笑)
  • 2014-08-28 20:31
  • 風露草
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[C1690] 恋~

形はいろいろなバリエーションはあるけれど、
真実は、はたして~

真顔で言うには、少しあれですが、
言える空気が出来ると良いですね。。
  • 2014-08-28 21:27
  • fあらた
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[C1691]

恋か・・・・・
諦めて無いけど
自信喪失かな(^▽^;)

[C1692]

なんつうか、川端康成はやはり、線細いですね。
肉親との縁薄いゆえに、影薄く、自己と似た魂を持つ人と,琴線が触れ合って、そして、互いに遠慮しあって・・蜉蝣みたいに儚い二人だなあ・・
川端は、三島由紀夫に自分を推挙してくれ・褒めてほしいと頼み、義理堅く三島は、英語?で、推薦文を書き、ノーベル賞選考委員会は三島が勧めるからと、そちらに受賞させた・・川端の本は、当時は英訳して世界に出回ってなどなかったそうです。それが自責の念ともなって、結局儚い亡くなり方をして、儚い人はあくまで儚きままで逝ってしまった・・今夜は雨だし、寂しい話にシンミリとしてしまいました。

[C1694] 風露草さん

こんばんは

恋しくて恋しくてって、せまられたら、
ちょっと逃げ出しちゃいたくなりますかしら?
熱情が痛いのでしょうか?
  • 2014-08-29 03:14
  • hippopon
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[C1695] fあらたさん

恋はするものでなくて、
おちるもの。

結婚はするものかもしれませんが、
それでも、そこに、恋がうまれないとね。
  • 2014-08-29 03:21
  • hippopon
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[C1696] ひろりんさん

ヒロりんは出来る、(*^_^*)
誰でもってわけにはいかないから、
待機してる賢さ。

おちてしまうそうな恋があすにでもあるかもしれませんよ。
  • 2014-08-29 03:23
  • hippopon
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[C1698] imagica さん

こんばんは、
ちょこっと肌寒いですね。

そう線が細い。
谷崎あたりとはちがう。
私、読んでてすきになれないし、気味が悪い印象ばかりあって、
禽獣もとても読むのがつらかったことばかり思い出すの。
物心ついてから、お金はあって後ろ盾が無い。
親類にもいてね。、やはりこういう感じ、家庭を求めてた。
感覚がちょっと特別な人でした。
二人は共通な感覚を持ってたのでしょう。分かり合えるもの。
言葉でも、知性でも、心映えでも、魂が震えるような時間を感じたのでしょう。
彼の求婚に、大人の誰かが仲人にたったのなら、
お寺の僧も無体な行動には及べなかったのかもしれませんね。
卑怯卑劣なお坊さん。供養してもらいたくないですねぇ。そして、そこに居たら、人として扱ってもらえずに機能として大黒になったかもしれませんが、彼女は自由をもとめた。
遠慮しあってと言う感覚が今にはなかなかないでしょう?
何でもあからさま。
少女の愛想つかしの手紙を今読むと、
すべてをなくしても、
彼をきづつかないように、、
そういう選択だったのかと、切ない張り裂けんばかりの文でした。完全無垢な恋、
結局結ばれなかったから無垢のままの恋として強烈に、残った。
取り出せば、熱く切っ先が尖って、キリキリと痛む日もあったことでしょうけれども。
小説家が滾り続けることができるほどの
秘すれば花になったのでしょう。

又、あの時代の空気、感覚があった。操とかいう言葉、
ソドムとゴモラに代わってゆく東京の街では死語です。あえて使ってみました。

彼は生き抜いて、三島の分まで、彼の憂国精神にむくいたら
よかったけれども、結局、三島程のものが無かったんだろうと思えます。
改めて美しい国の演説を読もうかと。
三島なら、谷崎ならどのような演説になったのでしょう?

雨のせいか、外の空気が澄んでいます。
そして我らは、この刻、今を生きにきます。
  • 2014-08-29 03:57
  • hippopon
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[C1713] こんばんは

:hippoponさん
妙(たえ)なる、真理を書き表しえた文章に脱帽です。

谷崎はタップリとふくよかに明らかに妙手ですね。
三島は、私は、初期のエンターテインメントの
「潮騒」「仮面の告白」など、好きで鮮明です。
後々の長編は、まがい物っぽいと感じた・・
楯の会の、経費稼ぐに忙しかったそうです。

本物の、哀しみと歓喜と書き綴れる人って、今はいるんだろうか・・
今日、半村良の時代小説読んでます。
ちょい前は、浅田次郎「天切り松闇語り」他・・
歌舞伎は、三島のものは「熊野」「椿説弓張月」なんて長編より、短編喜劇「鰯売り恋の曳網」が好き・・私の傾向、諧謔味添えた味わい深いのが良いなあ・・
今夜は肌寒い・・
青江三奈の長崎ブルースを聞いてます。
私が小6くらいでしょうか
昭和の40年台前半は、懐かしい・・
肌合いがなんともあったような、手前味噌な懐古談です。

[C1717] imagica さん

おはようございます。
三島は近代能楽集で熊野書いてますね。
熊野については、以前にちょこっと書いた記憶がありました。
3月10日、桜を前に
「いかにせん都の春も惜しけれど、馴れし東の花や散るらん」。人気演題ですものね。
調子崩して、読む時間がなかなかですが、東京にも取り寄せます。
ありがとうございます。

「鰯売り恋の曳網」、拝見した事が無いです。
新しい歌舞伎座にもまだ行けえません。
一幕。後ろの席でも拝見したいです。
華やかな舞台が想像されますね。

今売れる文章は、漫画に毛が生えたストリー性の高いものではないでしょうか?
ぺなっとしてるので、読む気がおきません。

長崎ブルースは、、ずいぶん大人の歌詞ですね。
青春のかたみ。✨
佳き宵でございましたか?
  • 2014-08-30 06:15
  • hippopon
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