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黄瀬戸宝珠香合

黄瀬戸宝珠香合 根津美術館蔵
口径5.9センチ
高さ4.8センチ
底径 3.6センチ

黄瀬戸香合の中随一といわれます。
由緒は、姫路酒井家伝来品。直接根津家に伝わったそうです。

油揚肌のやわらかな釉肌、「胆ぱん」の緑釉。
 結構大きな香合です。
 利休が美濃に注文したものと伝わります。

    622.jpg  黄瀬戸宝珠香合

利休形というのは、利休好みであったり、利休の所持品であったりのほかに、
「なだらかな丸み」と言う意味もあります。
備前肩衝茶入銘布袋の写真のなだらかな肩にもにてますね。
この宝珠香合の曲線をご覧になると共通の好みが見えますね。
なだらかな丸みは、安らぎの形であり、とげとげしさも無く、落ち着いて朗らか、掌に包み光がこぼれる形ですね。

胆ぱんの出具合が非常によくて、
柔らかな土の中から、緑の草が萌え出でる様な春の陽の生命観を感じました。
利休は、ほぼ単色を好み、多くは黒です。
その様な道具立ての中で、ひときわ浮かび上がる、ほのかな陽光のような色合いです。
利休の美意識は、「削ぎ取った美」と言われるように、「シンプル イズ ベスト」のような好みです。
素材はあたたかなものが多いいです。
温かみは素材だけでなく形状にも表れて、「なだらかな丸み」が包み込みます。

信長の茶は、圧倒的な権威の象徴でありました。

        5622- 織田信長

ジョバンニ・ニッコロ(Giovanni Nicolao)(ナポリ生まれのイエズス会宣教師)による肖像画。

茶道具はあたかも、勲章、褒美としての茶道具の遣われ方をしましたね。
利休は信長にも仕えますが、
利休のお茶は、信長の様に、上から圧倒的に支配するお茶でなく、
人と人の厚情を練る、信頼、絆を深める、くつろぎの中に礼節がある、お茶でした。
利休百会記を読むと、狭い中で一客一亭(亭主と客が一人づつで、何人も入れない)の時もありますが、
メンバーの組み合わせがなかなかに面白いときもあります。
あるときは入り切れる?とおもうような人が、狭い茶室に居ました。
正坐は神の前でするものだった頃で、
体育座りで楽しんだお茶だったとも聞き及びます。
道具は万人が、ホッとするような、そして信頼関係を結べるような温かみをもってます。

622-3.jpg  利休百会記

その中で、利休が美濃に注文を出したと思われるこの香合は、新鮮な衝撃でした。
黄瀬戸の色は、けばけばしく派手に思われがちですが、
茶碗は畳の上で扱うもので、畳の上の黄瀬戸は、畳に吸い込まれるような温かみと存在感を持ちます。
仄かな弱い春の陽光を浴びると、それはもう溶けるように美しく、
ぽっと、春がいぶきだします。
厳しい冬を越すときの喜びが、一点に凝縮するようです。

私はこれを持ちたいと思いました、
レプリカは沢山あっても、納得が出来ませんでした。
勿論どうしても欲しいなら、積立貯金をしても手に入れるのです。
先ずは、見つけないとなりません。
 
 利休 6226 伝 長谷川等伯 正木美術館蔵より

利休居士は、高価な道具を集めるのでなく、自分でどうにかしました。
職人さんたちと話し合いで、またデザインを出して、道具を作り出しました。
目利きをして、見立ての道具もありますし、自ら茶杓も削りました。
自ら茶の湯の喜びを作ってゆきました。
それが基本なら、私は忠実な弟子として、、
納得のいくものを、作っていただこうかとおもいました。

そう思った時は、お金が無いうえに、免状代は騙されて、免状は来ない。
風が身に沁みるような日々でした。
信じていたものが崩れて、精神バランスを失って、やっと、立ち上がり、
新しい先生についたものの、地方ルール?
東京に戻ったら、まったく元道理が正しかった。
混乱し、心も頭も疲れ果てて、体も悪くしました。
そういう失望の日々でした。
  
   7622 黄瀬戸乃宝珠香合 上から

そこで目にしむように、吸い込まれたのが、この香合でした。
ぽっと、温かな黄瀬戸の油揚肌は老荘の教えに従うように、
自然体で、包み込むようで、
宇宙の永久を思うような渦で、
傍に置いたら、見てるだけ触ってるだけで、心安らぐだろうと思えました。
土の中からにじみ出る萌草のような、そういうものが欲しかった。

そして、ある先生を見つけました。
作品を画像で拝見する都度に、土味があたたかく、どうしても手に入れたくなりました。
思い切って、恐る恐るお電話をいたしました。
なんと気さくに、お電話口に出てきてくださいました。
作品通りのお人柄でした。
それを感じられた自分に自信を回復するようでした。
お値段だけでも知って、励みにして、分けて頂こうかと思いました。
するりと作ってくださいました。お支払いはできました!!
荷物がとどいて、あけた時の高鳴る気持ちは、今でも思い出します。
その後、有名な難波等の茶碗の、、とおしゃってくださったのですが、
生活で、備えないとならないことが出来てしまって、まだ、お願いできずにいます。

   6223  黄瀬戸乃宝珠香合 前

私の宝。同じサイズで、、作家のぬくもりが伝わります。
そして、龍の角の様に見える黒い染みのようなものは、
作家の指の名残です。
作品が残ってゆくのと一緒に、彼の存在は残ります。
本歌にもありますよ。
前に親指を併せてみると後ろの指が収まります。
声でしか知らない先生の手を感じることができます。
点前では、親指が前で半月に持ちます。重なるのです。
酒井家の人々も、根津家の人々もそうやって、400年昔の作家や、利休居士と交流したのでしょうか?
合わせ口が難しい香合です。
利休居士は180センチあったと言われるぐらい大きな方でした。
その大きな掌の中に包まれた宝珠。想像すると、ときめきます。

私の最もつらかった時を支えた一つです。
先生の御厚情を思うと、胸に龍を住まわせて、育てねばなりません。
龍が持つ宝珠。
辰年の新年を飾りました。

   6224  黄瀬戸乃宝珠香合 後

いつか、先生のところに社中と連れ立って、見学旅行をすることが私の望みの一つです。
昨今の風潮で、流行だからとか、つまみ食いで習う人の集まりでなく、社中と呼べる人々と。
穏やかで、信頼できうる仲間とともに、、先生を囲みたいとおもいます。

先生、待っててくださるかしら?
桃山の、、、と話す先生のパッション。温かみ。
頑張らねば、、此処で、朽ちる訳にはいかない。

竹取物語の龍の首の玉は、宝珠とは違うようですが、かぐや姫が話した宝。
夢見た幼い日の想いは、このような形で結実いたしました。
胸の中にいつも残り、このような形で。

{夢は持たないと実現しない、夢の実現は自分が切り開く、その道程が生きぬいた証}hippopon

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コメント

[C842] 香合と点前~

お茶を点てる準備をしている時に、使う茶具・・・
くらいの知識しかなかったので、少し調べて。

お湯を沸かす火中にお香を入れて焚く~
そのお香を入れる容器ですね。

茶を点てて、茶を振る舞う
その一連の動作のみならず、道具一つ一つが
美術品の域に達しているのですね。。
  • 2014-06-23 18:10
  • fあらた
  • URL
  • 編集

[C843] fあらたさん

こんばんは、

素晴らしい説明をありがとうございました。
私、結局どっぷりお茶に浸かってるから、
説明不足でした!
凄く反省しました。

今後のヒントにもなりました。

先ず香合とは何ぞやでしたよね。
調べてまで下さって、本当にありがとうございました。
友情感じます。

ちゃんと丁寧にしてるつもりが、当然知ってることになってる。
これは、不親切な人のやることでした。

これからも心配ですが、踏まえてかきます!

[C855]

180センチですかぁ、当時としては、大きい方だったんですね。
小柄なイメージがあったんですけどね。
  • 2014-06-24 21:52
  • ジュリアルーシュ
  • URL
  • 編集

[C859] ジュリアルーシュさん

京畳は大きいでしょう?
それならゆったり。
そのサイズの殿方でも十分ゆったりとしたお点前が出来ます。

ご立派だったのでしょうね。


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